最高裁判所第二小法廷 昭和29年(オ)983号 判決 1956年9月28日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由第一点について。
被上告人が本件小切手の所持人として支払のための呈示をした事実は、上告人の自白したところであるから(原判決事実摘示及び第一審口頭弁論調書記録一〇丁参照)論旨は理由がない。
同第二点について。
所論は、本件小切手における支払人の支払拒絶宣言の記載は小切手の裏面になされているところ、小切手の裏面は小切手そのものではないから右記載を有効とした原判決は不法であるというのである。しかし小切手法三九条二号には「小切手ニ……」とあつて特に小切手の表面のみに限る趣旨とは認められず、小切手の裏面もまた小切手そのものであるから、裏面になされた支払拒絶宣言の記載も有効であつて、この点に関する原判示は相当であり、論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)